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人事担当者のお悩みごと相談
2025年03月18日

同一労働同一賃金とは・・・

賃金

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教育訓練や福利厚生についても不合理な待遇差の是正が必要
「同一労働同一賃金」とは、会社内における正規雇用労働者(いわゆる正社員)と非正規雇用労働者(契約社員、パート、アルバイト、派遣社員等)の間の不合理な待遇差の実効ある是正を図ることを目的としたものである。 また、待遇差(※)があった場合、その理由を事業主が説明する義務が発生する。(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律14条) ※職務内容が最も近いと事業主が判断する同じ企業内の正規労働者を比較対象とする 基本給、昇給、賞与、各種手当および退職金といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生(社宅、健診費用、慶弔休暇等)についても不合理な待遇差の是正が必要とされているものである。 なお、この是正においては、労使の合意なく、現在の正規雇用労働者の待遇を引き下げて、不合理な待遇差を解消するのは望ましくない。 ただし、これは、同一業務を行う正規雇用労働者と非正規雇用労働者の労働条件を、単に同一にしなければならないというものではない。 労働条件が相違している場合には、労働者の「業務内容」「責任の程度」「職務の内容」「配置変更の範囲」および「その他の事情(※)」を考慮して決定されたものであることが重要であり、均衡がとれたものになっていれば、問題ないということである。 (労働契約法20条) ※「その他の事情」には様々な内容が考えられる 事例1:会社の雇用および人事に関する経営判断 <長澤運輸事件> 事例2:人員配置、人事制度(正社員への登用制度) <メトロコマース事件、大阪医科大学事件> 就業規則等、社内規程および現在契約されている労働条件・処遇について、正規雇用労働者と非正規雇用労働者において違いがあった場合、その違いに対する理由が合理的なものとなっているか、もしくは違いに応じた待遇になっているかが重要である。 なお、それは主観的または抽象的な説明では足りず、客観的で具体的な実態に照らして、不合理と認められないように定義しておく必要がある。 「パートだから」「将来の役割期待が異なるため」は理由には当てはまらない。 ★ポイント (1)基本給 職能・勤続年数・会社への貢献度等、指標がいくかあるなかで、まったく同一であれば、同一賃金であることが必要とされる。 ただし、次の理由等により、正規雇用労働者が非正規雇用労働者より基本給が高いことは問題ない。なお、差がある場合は、均衡がとれていることは必要。 ・正規雇用労働者のみ、職務内容や勤務地の変更がある ・正規雇用労働者のみ、管理職になるための業務である ・正規雇用労働者のみ、生産効率や品質の目標に対して責任を負っている (2)通勤手当 通勤手当は、通勤に要する費用を補填するものであり、通勤という行為は全労働者に当てはまり、正規雇用労働者・非正規雇用労働者であることで費用が異なるものではないため、通勤手当の支給ルールは一律にすべきものとなる。 なお、ルールに違いがあっても問題ない事例としては、本社の正規雇用労働者の通勤手当の上限設定はなく、店舗のアルバイトは、通勤範囲内での採用のみとして、その範囲での上限を設定。その後、本人理由で引っ越した場合、その上限までしか支払わないといったケース。 (3)各種手当 合理的な理由により、金額の差、支給の有無について待遇差があっても問題ない。ただし、通勤手当のように全労働者に当てはまるような手当は、ルールは同一であることが必要。 ルールに違いがあっても問題ない参考事例は以下のとおり。 <住宅手当> 勤務地の変更がある正規雇用労働者には住宅手当の支給があり、勤務地の変更がない契約の非正規雇用労働者に住宅手当の支給がない。 =規程上、異動の可能性があり、従業員は会社の指示に従わなければならないということを明記しておく。 <皆勤手当> 考課上、欠勤についてマイナス査定を行い、かつそのことを待遇に反映する正規雇用労働者には、一定の日数以上出勤した場合の皆勤手当の支給があり、マイナス査定のない契約の非正規雇用労働者に皆勤手当の支給がない。 <地域手当> 全国一律の基本給体系を適用し、転勤があることから地域の物価等を勘案して、正規雇用労働者には地域手当の支給があり、地域採用でそれぞれの地域で基本給を設定していて、その地域での物価が盛り込まれている非正規雇用労働者に地域手当の支給がない。 <食事手当> 昼休憩のある正規雇用労働者・非正規雇用労働者には食事手当の支給があり、午後のみの短時間勤務で昼休憩のない非正規雇用労働者に食事手当の支給がない。 (4)賞与 同一の貢献度であれば、同一のルールもしくは金額による支払いが必要。 なお、貢献度にかかわらず正規雇用労働者に何らかの賞与を支給していれば、非正規雇用労働者にも支給する必要あり。 OK:正社員に課せられた目標に対しての業績を評価し、会社への貢献度に応じて算定し、支給額を決定する。 NG:基本給のみに連動(※)し、従業員の年齢や成績および会社の業績にも連動していない。 NG:(規程条文)正社員のみ、必要と認めたときに支給する。 ※基本給が、勤務成績をふまえ評価されて昇給、勤務年数に応じて昇給するものであれば、それが賞与にも連動という考え方はできるが、規程上で、賞与の性質・定めた目的を明文化しておくことが望ましい。 (5)退職金 退職金制度はそのような性質をもっていて、どのような目的で、どのように構築しているか明確になっていることがポイント。 長期雇用を前提とする無期労働契約を締結した労働者に対して、福利厚生を手厚くし、有為な人材の確保及び定着を図る目的としての退職金制度であれば、短期間雇用を前提とした有期労働契約者に対して、退職金制度がないのは不合理とはいえない。 ただし、長期間の労働の対価として功労報償的な意味合いだけであれば、契約更新を繰り返し、長年勤務した非正規雇用労働者にも支給する必要がでてくる。 (6)慶弔休暇 正規雇用労働者と非正規雇用労働者が、同様の出勤形態であれば、同じ慶弔休暇の付与が必要。 ※参考(ルールに違いがあってもOKな事例) 週2日のアルバイトには、勤務日の振替対応を基本とし、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与
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