定年については、年齢は60才を下回ることができないと法律で定められている。(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律8条)
さらに、65才までの高齢者雇用確保措置が義務付けられているため、定年が65才未満で設定されている場合、継続雇用制度を導入する必要あり。
(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条)
定年後の継続雇用制度とは、原則として希望者全員を継続雇用する必要がある。
なお、条件(契約期間、就業時間、賃金等)については、労使の協議によるもので法的な制約はないが、同内容の職務・職責にも関わらず、有期契約だからといって大幅な賃金減額は違法である。(労働契約法20条)
ちなみに、以前は労使協定により対象者の基準を定めれば、継続雇用者を限定することが可能だったが、平成25年4月の改正時に廃止。ただし、平成25年3月31日までに対象者の基準を定めている場合には、以下の各期間に対応する年齢の者に対して、対象者の基準を適用できる経過措置が認められている(厚生年金の支給開始年齢に合わせた措置)
▶平成28年3月31日まで:61歳以上
▶平成31年3月31日まで:62歳以上
▶令和04年3月31日まで:63歳以上
▶令和07年3月31日まで:64歳以上
(参考判例)
東京大学出版会事件(東京地裁H22/8/26)
長澤運輸事件(東京地裁H28/5/13、東京高裁H28/11/2)※上告及び上告受理申立て中
※同一労働同一賃金の判例・・・ハマキョウレックス事件(大津地裁H27/9/16、大阪高裁H28/7/26)
<継続雇用の高齢者の特例制度>
有期雇用労働者の無期転換ルールについては、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者も通常は対象となるが、労働局へ特例申請し認定された場合、定年退職者に無期転換ルールは適用されない
(特例適用除外:同一事業主もしくはグループ会社ではない企業に再就職した定年退職者)
<定年に伴う手続きのポイント>
☑退職金の支払い
継続雇用をする場合でも正社員としての資格は失うため、退職金規程があれば、規定通りいったん正社員としての退職金を支払う
☑社会保険
喪失手続きを行う
なお、継続雇用し、加入条件を満たしている場合は、改めて取得手続きを行う
⇒通常、雇用形態が変更となった場合でも同じ会社で雇用継続となっている場合は喪失せず、給与変動により通常の月変対象となるが、定年後の雇用継続の場合、退職時に喪失と取得を同時に行ない、再雇用後の賃金で標準報酬月額をリセット
(給与が変わらなければ継続でも問題なし)
☑60才到達時等賃金証明書
雇用保険に加入している従業員が60才になった場合、ハローワークへ60才到達時等賃金証明書を提出。これは従業員が高年齢雇用継続給付を受給する際に必要となる。なお、受給1回目の申請時に登録されていれば問題なし。
<有給休暇>
継続雇用となった場合、そのまま継続して引き継ぐ
<その他>
定年退職により、会社の健康保険喪失後に任意継続を選択された場合、「特例退職被保険者制度」を利用できる健保組合もあるため、確認するとよい。
なお、「特例退職被保険者制度」とは、通常2年しか継続できない任意継続を後期高齢者医療制度に加入する75歳までの間、継続して加入できる制度