業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません(労働基準法第39条)。
(1)付与日数
通常の有給休暇付与日数×週の所定労働日数÷5.2
※=比例付与日数(小数点以下切捨て)
※1週間あたりの平均所定労働日数は、厚生労働省令で「5.2日」と定められている
⇒発生の日から2年間で時効により消滅(労働基準法第 115 条)
(2)付与要件
◆雇入れの日から6ヶ月継続勤務(※)
※定年退職者を嘱託社員として再雇用した場合などは、継続勤務として扱う
◆全労働日の8割以上出勤(※)
※業務上のケガや病気で休んでいる期間、法律上の育児きゅうぎょうや介護休業を取得した期間などは出勤として扱う
(3)取得時季
年次有給休暇を取得する日は、労働者が指定することによって決まり、使用者は指定された日に年次有給休暇を与えなければなりません。
ただし、労働者の指定した日に年次有給休暇を与えると、事業の正常な運営が妨げられる場合は、使用者に休暇日を変更する権利(時季変更権※)が認められている。
※ (事例〇)同じ日に多くの労働者が同時に休暇指定した場合 など
(事例×)業務が多忙だから など
(4)年次有給休暇の時季指定義務
年次有給休暇は、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされていますが、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しては、年次有給休暇の日数のうち年5日について、 使用者が時季を指定して取得させることが必要。
※年次有給休暇を5日以上取得済みであれば不要
(原則)労働者⇒使用者へ「〇月〇日に有休で休みます
(時季指定)使用者⇒労働者へ「〇月〇日に有休取得してください」※使用者が労働者に取得時季の意見を聴取したうえで時季を指定
(5)計画付与
付与日数のうち、5日を超える部分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることが可能
⇒「
有給休暇の計画付与の正しい運用方法」参照
(6)時間単位での取得
1日単位が原則だが、労使協定を結べば、1時間単位で与えることが可能(上限は1年で5日分まで)
★使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。