過重労働によりうつ病を発症し、そのうつ病と自殺との間に因果関係が認められれば、自殺に業務起因性が認められるようなケースもあり、その場合は労働災害となるため、会社には労災補償義務が生じ、従業員は労災給付の対象となる。
さらに、会社に安全配慮義務違反などが認められれば、従業員の遺族から会社に対し、損害賠償請求がされる可能性もある。(労働契約法5条)
ただし、損害賠償の額は労災保険給付との間で調整がなされる。(労働基準法84条)
<会社の対応方法>
従業員が自殺したとの一報が入った場合には、まず業務に起因したものでないか(※)確認する必要あり
※業務起因とは・・・過重労働、パワハラ・セクハラ、過度な本人への重圧 等
⇒実態調査および事実関係の確認を慎重に行う。
推測、想定などは除外して、あくまでも事実確認のための調査を実施。(労働時間データ、関係者へのヒアリング 等)
<労災の認定基準>
心理的負荷による精神障害の認定基準について[平23.12.26 基発1226第1]
⇒労災認定(具体的には労災保険給付の不支給決定処分)が訴訟で争われた場合
⇒会社側の安全配慮義務違反(債務不履行)あるいは注意義務違反(不法行為)を遺族側が損害賠償請求を行う場合(民法415条、709条、労働契約法5条)
(参考判例)
九電工事件(福岡地裁H21/12/2)
国・天満労働基準監督署長(CSK・うつ病自殺)事件(大阪高裁H25/3/14)
国・八王子労働基準監督署(東和フードサービス)事件(東京地裁H26/9/17)
三田労働基準監督署長(適応障害発症に業務起因性が認められた者の、自殺についての業務起因性判断)事件(東京地裁平27.12.17判決)