<基本的な考え方>
裁判例を踏まえれば、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由です。
ただし、副業・兼業が、自社での業務に支障をもたらすかどうかを慎重に精査したうえで、会社としての導入を検討すべきです。
さらに、導入した場合は、労働者も安心して副業・兼業を行えるようにするために、就業規則で届出ルール等を定めたうえで、副業・兼業も含め通算した労働時間が長時間にならないようにする管理する必要があります。
<運用ポイント>
◇使用者は、 労働者の自己申告などで、副業・兼業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と足し合わせます 。
◇副業・兼業先での労働時間を自社での労働時間と合わせた結果、自社での労働が、 1週 40 時間または1日8時間を超える法定外労働に当たる場合、36協定の締結、届出、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要 になります。
◇自社と副業・兼業先での法定外労働の時間と休日労働の時間を合わせて、 単月 100 時間未満、複数月平均 80 時間 以内 とする必要があります。
◇実態把握のために、副業・兼業の許可申請書を導入することをお勧めします。申請書内に記載があるとよい情報は以下のとおりです。
1.副業・兼業先の情報(社名・所在地等)
2.業務内容、役職
3.契約形態
4.行う時間帯、曜日、上限時間(週、月)
◇本業をおろそかにしないためにも、「副業・兼業に関する誓約書」提出してもらうほうがよいでしょう。
1.労働時間の申告
⇒長時間労働となり、自社業務への影響、本人の健康が脅かされる等がわかった場合、制限または禁止とする。
2.秘密保持
⇒業務上の秘密となる範囲の共有、秘密漏えいへの注意喚起
3.競業避止
⇒禁止される競業行為の範囲の共有、自社の正当な利益を害しないことへの注意喚起