海外での勤務パターン
①海外派遣(海外転勤or海外出向)=以下を参照
②海外出張=日本で勤務しているのと同様で通常どおり
<社会保険>
日本の会社から給与の一部 (全部)が支払われていれば、原則、健康保険・厚生年金の加入は継続。
なお、日本と海外の会社、双方から給与が支給されている場合、標準報酬額の決定方法は次のとおり。
①日本での給与規定や出向等に海外勤務者に係る定めがなく、海外の会社から直接給与が支給されている場合
(=海外の会社の規程に則って給与が支払われている場合)
⇒海外の会社からの給与は含めず、日本での給与のみで標準報酬額を決定
②海外から給与は支給されているが、国内における規程に則って支給されている場合
⇒日本と海外の給与を合算し、標準報酬額を決定
(補足)
①外貨で支払った場合
支払日の為替換算率で日本円に換算
②標準報酬額に含む手当等の考え方
日本での通常の決定時と同様
(=労働の対償として、経常的かつ実質的に受けるもの)
※含まれないもの(例)傷病手当金、休業補償、見舞金、出張旅費(実費の場合)等
③医療費
いったん全額負担し、帰国した際に払い戻しを受ける
ただし、払い戻しを受けられるのは、日本で同じ傷病を治療した際にかかる治療費を基準に計算した額から自己負担相当額を差し引いた額
そのため、医療費が高い国では、自己負担額が高いということになる
そのため、民間の海外渡航時の保険に、会社として加入しておくことをおすすめ
④社会保障協定
海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度に加入する必要あり
ただし、上記のように日本での保険にも加入している場合、二重負担する必要等がでてきてしまうため、国と国の間で次のような協定を締結
☑二重加入の防止
保険料の二重負担を防止するために加入するべき制度を二国間で調整
☑年金加入期間の通算
保険料の掛け捨てとならないために、日本の加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取扱い、その国の年金を受給できるようにする
社会保障協定を締結している国、その手続きについては日本年金機構のホームページ(https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/20141125.html)参照。
⑤介護保険
40歳以上の従業員については、従業員が事業主経由で「介護保険適用除外届」を保険者に提出することにより、介護保険料が免除(介護保険の給付なし)になります。(途中で40歳に到達した場合は、その誕生月に提出)
ただし、日本に住民票を残したままの場合は、介護保険料は徴収する必要あり。
※扶養している家族が日本在住で、その家族が40~64歳の場合は、介護保険料が徴収される場合あり。
<労働保険>
★労災保険
「海外派遣者用の特別加入制度」を利用。
※在籍出向で出向元から給与が支払われていれば、この制度を利用できるが、転籍出向の場合は、出向元との雇用関係が終了しているため対象外。
従業員の海外での勤務がスタートする前に、会社として特別加入申請書を所轄の労働基準監督署に提出。
加入手続きの方法等、詳細は厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-7.html)参照
★雇用保険
継続して元の会社に在籍していれば、継続して加入。
なお、海外に派遣されていた従業員が離職後に、失業給付を受ける場合、海外派遣期間の受給要件の緩和(※)が認められるケースあり。
※受給要件の算定対象期間に、海外派遣期間が通算される
<所得税>
1年以上の予定で転勤した場合
⇒海外に出国する日までに支払いの確定した給与等で、出国する前に年末調整を実施(2,000万円以下が対象)
☑社保・生保等の控除=出国する日までに支払った額
☑扶養・配偶者控除=生計を一にしていたかどうかは出国時の現況、扶養者の所得は、その年の年末までの見積額
⇒出国後の源泉徴収
☑役員=海外勤務に対する報酬であっても、日本の法人の役員として受ける報酬には、源泉徴収が必要(20.42%)
ただし、支店長など使用人としての立場で、常時海外において勤務している場合は、源泉徴収は不要
また、いくつかの国と租税条約を締結しているため、その国ごとの内容を確認する必要あり
☑通常の従業員=源泉徴収は不要(現地法人で課税)
ただし、賞与等の支給額決定時の計算対象期間に、日本で勤務している期間(1ヶ月を超える期間)が含まれている場合、その期間の対象金額については源泉徴収が必要(20.42%)
それに対しては、「非居住者に支払われる給与・報酬・年金および賞金の支払調書」を法定調書作成時期に作成
※支払金額が50万円以下であれば作成の省略可
(補足)
・出国日は居住者扱い
・当該月に国内と国外が混ざっている場合は国外を優先してOK
<住民税>
住民票の有無によって決定
★その他会社として検討および規定しておくべき事項
<渡航にかかる費用負担>
①支度金
②荷物運送費
③渡航旅費
④出張旅費
<特別手当>
①赴任手当
②ハードシップ手当(国別のリスク指数を元に決定)※定期的な見直しが必要
③子女教育手当
④帯同家族手当or留守宅手当
<特別休暇>
①準備休暇+着後休暇
②帰国休暇(慶弔、出産、受験、健康診断、私用等)
<健康診断>
会社が従業員を海外に6ヶ月以上派遣する際、また6ヶ月以上海外に派遣した従業員を国内で就業させる際に、法令で定めた項目にて健康診断を受診させる必要あり
(労働安全衛生規則45-2条)
<予防接種>
派遣する国による
<民間の保険加入>
<住宅等の準備>