「地震」「台風」「大雪」等の天災により、自宅待機や早退が発生した場合、会社が行うべき賃金の補償(=休業手当)についての判断基準は以下のとおり。
<労働基準法26条>
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
(平均賃金の6割支給計算の考え方・・・8時間勤務の人が5時間働いて早退した場合は、6割に達しているため、休業手当の支払いは不要)
⇒ただし、天災事変等の不可抗力※の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。
※ここでいう不可抗力とは、以下2つの要件を満たすもの
(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること
(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
□支払い不要のケース
✔天災により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたり、ライフライン(電気・水道・ガス)が止まったことにより、その結果、従業員の働く環境がなくなった結果により休業させる場合
(=休業の原因が事業主の関与の範囲外のものであり、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故のため)
✔大雪により電車が止まっているからという理由で、本人から休みの申請があり、それを会社が認めた場合
■支払い必要のケース
✔事業場の施設・設備は直接的な被害を受けてはいなく、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能となったことにより従業員を休業させる場合
(=天災になった際に補填できるような仕組みづくりまでが会社の責任のため)
ただし、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、不要となるケースもあり。
✔大雪により電車が止まっているからという理由で、会社から自宅待機命令をした場合
✔大雪により資材が届かないからという理由で、会社が休業命令をした場合
✔ライフラインが止まっているという理由で、業務が行える環境にもかかわらず、会社が休業命令をした場合
(例)アニメ制作・・・PCを使用して描いている場合は、電気がストップすることにより業務ができないが、通常手書きをしているのであれば、業務が行える環境にあるといえる