自社の従業員を別の会社に出向させる場合、出向者の就業条件等、諸条件を取り決めたうえで、出向協定書・出向契約書を取り交わします。
その書面のなかで、従業員の賃金・手当および社会保険料や労働保険料の負担をどちらが、どのような比率で負担するか決めておきます。
その際のポイントとしては・・・
<社会保険料>
ケース1
出向元より従業員へ、賃金・手当等をすべて支払っている場合(直接の支払いの意味で、賃金の一部・または全部を出向先が負担している場合も同様)
⇒出向元にて、社会保険に加入し、支払っている賃金・手当をもとに、標準報酬月額を決定
ケース2
出向元および出向先より、それぞれ賃金・手当等を支払っている場合
⇒それぞれで雇用関係が成立している状態であるため、2以上事業所勤務に該当するため、2社での賃金・手当の合算額で標準報酬月額を決定
ケース3
出向元より従業員へ、賃金・手当等を支払い、通勤交通費のみ、出向先より従業員へ支払っている場合
⇒出向元について、社会保険に加入し、出向元で支払っている賃金をもとに、標準報酬月額を決定(通勤交通費は除く)
※通勤交通費のみの支払では、常時勤務する労働者に該当しないと判断されるため、2以上勤務にも該当せず
出向元で支払われる給与にて、標準報酬月額を算出する
<労災保険料>
出向先にて申告し納付。(賃金負担の条件等は一切関係なし)
納付額の計算のための賃金・手当等の金額については、出向元・出向先で負担しているものすべてが対象となる。
<雇用保険料>
ケース1
出向元より従業員へ、賃金・手当等をすべて支払っている場合(直接の支払いの意味で、賃金の一部・または全部を出向先が負担している場合も同様)
⇒出向元がすべての賃金を支払っているということで、そちらで雇用関係が成立していると考え、出向元で雇用保険に加入し、出向元にて雇用保険料を計算
ケース2
出向元および出向先より、それぞれ賃金・手当等を支払っている場合
⇒出向元・出向先の両方で雇用関係が成立している状態であるが、主たる勤務先でのみ雇用保険加入という考え方になるため、主たる賃金を受け取っているほうで雇用保険に加入し、そちらの賃金のみで雇用保険料を計算
ケース3
出向元より従業員へ、賃金・手当等を支払い、通勤交通費のみ、出向先より従業員へ支払っている場合
⇒ケース2での説明どおり、出向元で支払われる賃金が主たる賃金と考えられるため、出向元でのみ雇用保険に加入し、出向元での支払分(=通勤交通費は除く)のみで雇用保険料を計算
なお、この雇用保険料の算出方法いずれにしても、出向元・出向先のどちらが負担するかは、出向契約書によるものとする。