まず、計算上必要な【退職所得控除額】を、次のように計算し、算出します。
勤続年数(=A)
①20年以下=40万円 × A(80万円に満たない場合には、80万円)
②20年超 =800万円 + 70万円 × (A - 20年)
注1:勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえ1日でも1年として計算します。
注2:障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額となります。
注3:前年以前に退職金を受け取ったことがあるときまたは同一年中に2か所以上から退職金を受け取るときなどは、控除額の計算が異なることがあります。
【例1】
勤続年数が10年2か月の人の場合の退職所得控除額
勤続年数は11年になります。(端数の2か月は1年に切上げ)
40万円×(勤続年数)=40万円×11年=440万円
【例2】
勤続年数が30年の人の場合の退職所得控除額
800万円+70万円×(勤続年数-20年)=800万円+70万円×10年=1,500万円
その次に、先に算出した【退職所得控除額】を使用して、所得税および住民税の算出元の金額である【課税退職所得金額】を、原則として以下の計算式で求めます。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 【退職所得控除額】) × 1 / 2 = 【課税退職所得金額】
なお、確定給付企業年金規約に基づいて支給される退職一時金などで、従業員自身が負担した保険料または掛金がある場合には、その支給額から従業員が負担した保険料または掛金の金額を差し引いた残額を退職所得の収入金額とします。
最後に、【課税退職所得金額】に、所得税の税率(申告書の提出有無、金額に応じて率が変動)および住民税の税率(一律10%)を乗じて計算します。
原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。
(1)「
退職所得の受給に関する申告書
」を提出している人

退職金等の支払者が所得税額および復興特別所得税額を計算し、その退職手当等の支払の際、退職所得の金額に応じた所得税等の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。
ただし、医療費控除や寄附金控除の適用を受けるなどの理由で確定申告書を提出する場合は、確定申告書に退職所得の金額を記載する必要があります。
(2)「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人
退職金等の支払金額の20.42パーセントの所得税額および復興特別所得税額が源泉徴収されますが、受給者本人が確定申告を行うことにより所得税額および復興特別所得税額の精算をします。
従業員の手取り額は、算出した所得税と住民税を控除した額となります。